縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーとは

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縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーとは

ミオパチーとは

広義には筋肉を侵す病気一般を指す言葉ですが、筋肉の異常により生ずる疾患で、筋ジストロフィーのような激しい壊死再生過程を欠く疾患の総称としても用いられます。

遠位型ミオパチーとは

筋肉の病気では、肩関節や股関節など体幹(胴体)に近い部分、すなわち近位の筋力低下が強いことが多いのに対して、指や足関節、手首など、胴体から遠い部分の筋肉、すなわち遠位筋の筋力低下が目立つミオパチーのことです。日本では、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー、三好型ミオパチー、眼・咽頭遠位型ミオパチーなどの頻度が高くなっています。

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(Distal myopathy with rimmed vacuoles)とは

特徴的な遠位筋を主体とする筋力低下を来たし、病理学(顕微鏡で見ること)的に筋組織内に縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーをこう呼んでいます。埜中ミオパチー、hereditary inclusion body myopathyとも言われます。
ジストロフィノパチーなどに比べると患者数がさらに少ないと考えられていますが、正確にはわかっていません。一般的には成人発症で、20-30代で発症することが多く、進行は筋ジストロフィーに比べるとゆっくりとされていますが、症例によりばらつきもあります。臨床的には病初期から大腿を閉じる力やつま先を上げる力が弱く、つまづきや走れないことで気がつくことが多い病気です。大腿四頭筋の筋力が相対的に残ると言われますが、進行すると近位筋の筋力低下も重度になります。近年、9番染色体上のGNE(UDP-N-acetylglucosamine 2-epimerase/N-acetylmannosamine kinase: シアル酸の合成を触媒する酵素の1つ)遺伝子を病気の責任遺伝子とする、常染色体劣性遺伝形式を取る単一遺伝病であることがわかりました。また病理学的・臨床的に類似の症例でGNE変異がない例など周辺疾患の存在が示唆されています。

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの診断

筋力低下の分布や歩行が比較的特徴的なので、症例経験が多い医師の診察をうけることが診断に近づく方法です。筋力低下の分布が矛盾せず、筋肉の生検(一部を採取すること)によって縁取り空胞が証明されれば、GNE遺伝子検査を受けることで確定診断されます。筋力低下が典型的であったり、血縁者に発症者がおり遺伝形式からほぼ確実と思われる症例では、遺伝子診断のみを行うこともあります。

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーの治療

これまで根治療法は見つかっていませんでしたが、GNE変異を導入したモデルマウスへのシアル酸補充療法の有効性が動物実験で示されており、患者さんを対象とした臨床治験の準備が進んでいます。
また、リハビリテーションで筋力低下による関節の拘縮を予防すること、歩行機能を維持するために病状にあった装具や杖などを用いることも大切です。